03 どうしたらいい?
―――どうしたらいい?
彼が仕えているのはこの国の皇女だった。
将軍である彼の父親が城に住み込みで働いていたせいで、兄妹同然に育ったが、所詮は生きる世界の違う人であることも、彼は何となく分かっていた。
年頃になり、美しくなった皇女に、結婚の話題が持ち上がるのも、彼は何となく分かっていた。
例えそれが、後に「政略結婚」と言われようと。
例え彼が、彼女を愛していようと。
「結婚!?私はまだそんなものしません!!」
何ヶ月もそう言って突っぱねる彼女に、彼女の父、現国王は顔を曇らせた。
皇女ぷいとそっぽを向くと、足音も荒く出口へ一直線に歩いていく。続いて遠くで勢い良く扉が閉められた音がする。
それはすでに、結婚の話をするたびのお決まりの光景になりつつあった。
そして必ず、王と控えていた従者は、その大きな音に揃って肩をすくめるのである。
急いで主人の後を追いかけようとした従者を、王は呼び止める。
「どうにか説得してくれぬか。あのわがまま娘、頑として首を立てに振らぬ」
王の顔色は本当に悪い。
「わたくしにですか・・・・・自信がありませんが・・・」
彼もまた困ったように眉を下げた。
―――何が悲しくて、自分の好きな女に、他の男との結婚を勧めなきゃいけないんだ・・・。
「いやいや、不思議とあの姫もお前の言うことはよく聞く。兄とでも慕っておるようだ。それにここだけの話、あの姫にサディナの王子と結婚して貰わなければ・・・・・」
国王は言葉を濁らせた。
長く続いた日照りで作物の収穫は著しく落ち、それによって市場価格は沸騰した。国民は剣を持って立ち上がり、各地で大規模な反乱が相次いでいる。
これの収拾に国政は荒れ、国庫は日に日に貧しくなっている。
そんなとき、もしも姫がサディナ国の王子と結婚すれば、サディナは援助をする、と申し入れてきたのだ。
皇女はそのことを、知らない。
プラウザバック推奨。
インデックスへ戻るときは↓を押してください。
