01 お願いだから、私を忘れて。



「―――お願いだから、私を忘れて」

「オレは、貴女の命令には従ってきました。でも、それだけは出来ません」

「・・・・・これは、命令なんかじゃないの。お願い・・・・・」

「・・・・・貴女は・・・ズルイ・・・・・」

―――貴女の『願い』なら、オレは断れないと知っているんだから。

彼は指先でそっと彼女の唇に触れた。
彼女がぴくりと身体を強張らせたのが、傍目にも明らかだ。

「オレは忘れません。忘れるのは・・・・・貴女です」

唇に触れていた指をそっと彼女の額に移動させる。
彼が意識を指先に集中させると、すぐに彼女は意識を失った。

「・・・・・忘れられる辛さは、オレが負います」

―――貴女だけはどうか、思いに囚われることなく。














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